書きたいものを、好きな時に、好きなだけ。
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* ごめんね。 *
【 ラス×イラ 】
※ 腐話。 姫様出てきません


***


手のひら2つ分ほど離れて座る身体と身体。
部屋の中の空気は気まずく澱んだ色。


自分で自分が厭になる。
どうしてだろう。
君に対してだけ、僕は素直じゃない。


どうして。
思っていることと反対のことばかり。
伝えたい言葉から遠く離れた言葉ばかり。


好き、なのに。
ちゃんと自分でも解っているのに。
僕は、 ― 君を傷つけてばかりだ、


「 ……… イラ? 」


自分はひとつも傷ついてなんかいませんよ、
大丈夫、ほら平気だよ、そんな視線で君は僕を窺う。
いつもそう。 君はそういうこと、とても上手だから。
上手になる必要なんて無いのに、少なくとも僕の前では。


「 ……… 何でもない」
「そう? …… 」


外される視線。
君の小さな吐息が溜め息に聞こえて顔を上げる。
形の良い唇は柔らかく微笑んでいた。


何でもない訳が無いことだって多分君は気づいている。
気づかれているのを知っていてまだ素直になれないのが僕。
どうしようもない。
こういう時どうやって甘えればいいのか、誰も教えてくれなかったから。


「 ! …… 、ラス ……… ? 」


いい匂いがする。
いい匂いがする。
君がせっかくその腕と胸で僕を包んでくれたって、
僕の身体は気持ちと同じでなかなか素直になってはくれない。


「 ……… 」
「 ……… 」


互いに無言のまま時間だけが通過していく。
あぁ、このままじゃ駄目だ、何か言わなきゃ、
そう思った瞬間身体に心地よい圧力を感じた。


「ねぇ。 何を怖がってるの … ? 」
「 ……… ラ、ス …… 」


くす、
零された笑い声は僕の耳元をくすぐって首筋に落ちた。


「怖くないよ。 オレはキミのそばにいるから」
「 ……… え」
「 ……… あれ、違った? 」


おっかしいな、
僕を抱きしめていた腕を解いて冗談めかして笑う。
その綺麗な紅い眼から眼を離せずにいると、
君の大きな手が僕の頬を撫でた。


「 …… 相変わらず … 可愛いね」
「 …… なに、を …… 」


続きは言わせてもらえない。
唇を唇で塞がれて言葉どころか息さえまともに出来ない。


「 …… ん、 …… 」


重なる唇と唇の合間から洩れる君の吐息が
笑っていることに気づいて顔を離す。
僕の手の指は、僕が知らない間に君の腕にしがみついていた。


「本当に ……… 素直じゃないね、キミは」


気恥ずかしくて眼を逸らしても、
君の柔らかい視線は僕を離れないまま。




「ラス」
「なに」


「ごめん … ね」
「ん? 」


いい匂いがする。


「もっと僕を叱っても …… いいよ」


やっと伝えると優しい声で笑う。
どうして。
どうして君は、そんなにも。


「 …… 何て言って叱ってほしいの」
「 … もっと素直になってとか、 」
「うん」
「 … もっと甘えてくれればいいのにとか、 」
「うん …… 」


僕の背中を撫でる手。
僕の眼を覗き込む眼。
僕の ―


そう、君は僕の …………




「 ……… ほら。 おいでよ? …… 」


ごめんね。
ごめんね。
勝手に僕のラスにしてしまって、ごめんね。


溢れ出る涙を見られたくなくて
僕は君の胸の奥に倒れ込んだ。






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イメージソング : Sofa / Le Couple
ラスさんに 「愛されてると知らずに」 むしろ
自分ばかりが好きだと思い込んでいるイラさん萌ゆる。
これ …… この話またラスさんサイドも書きたいな …


イラさんはラスさんから愛されている自信がいまいち無いといい。
ラスさんはイラさんが素直になれるように時々ちょっとだけ
色欲の力を使ったりするといい。 複雑な両想い、好き。