書きたいものを、好きな時に、好きなだけ。
* 馬鹿みたいに頑丈で燃費の悪い胃袋 *
【 グラッド中心罪過組 】
※ わやわや会話。 姫様出てきません


***


昨日は愛の日当日。
そしてあいつの誕生日の前日。
姫からは 「バースデーイブ」 だとか言われて
愛の日とも絡めて大量にチョコを贈られたと聞いたが。


今日はあいつの誕生日。
馬鹿みたいに頑丈で燃費の悪い胃袋を持った
暴食の王子の誕生日。


「 ……… なぁ、ヴァスティ」
「なんだ、ウェディ」
「こんなんで …… 足りるのか? 」


俺達6人の前にあるのは
主に荷物運搬用の大きなカートに入ったお菓子その他の山 ……
が、それぞれ6つ。


「流石に足りるだろう、これだけあれば」
「でもあいつの胃袋ブラックホールじゃん」
「ホント食いしん坊だよね …… オレも人のこと言えないけど」


きつい視線を感じたのかラスがすぐに黙る。
軽口を叩くなよ、ここで3度目は御免だぞ、
そう言うとラスだけでなくイラもバツが悪そうに目を逸らした。


「 …… スペルヴィアのだけ、ちょっと毛色が違うね? 」
「そうよ。 だってあの子甘いものばっかり食べてるんだもの」


イラに尋ねられてスペルヴィアが溜め息をつく。
明らかに健康に良さそうな色をした、おそらくは野菜原料の
食べ物や飲み物がたんまりとカートに積まれてある。


「 …… ねー。 早く行こうよ …… 」


カートの縁にちょんと座って
カートごと運んでもらう気満々のアケディアの気怠い声。
アンタは動きなさい、そんなだから眠くなるのよ、
スペルヴィアの叱る声と4人分の笑い声が廊下に響いた。






目的地まで辿り着くのには少々時間がかかった。
何せ重いカートを押しながら、広いとはいえ
縦1列に並ぶよりほかない廊下を歩いて
エレベータも1人とカート1台ずつしか乗れなかったわけで。


ウェディがイラの相手をしてくれていたおかげで
3度目を発動することも無く、
無事にグラッドの部屋の前に全員到着する。


「欠員は無いな」
「無いよ。 アケディアもいるよ」
「 ……… ちゃんといるよ」
「よし」


ノックをする前に部屋の中で足音がする。
甘い匂いが部屋の中まで届いたか。
扉が開かれて部屋の主が現れたところに、


「「「「「「 Happy Birthday 、グラッド! 」」」」」」




全員でカートの奥から声を上げる。
状況把握に時間がかかっているのか、反応が遅れている。


「 ……… 何、これ …… 」
「 ……… 食べ物 … 見たらわかるでしょ …… 」
「 ……… いや、そうじゃなくて … 」


グラッドの部屋にカートを6台押し込むことはできないので
仕方が無いから1台ずつ入らせてもらって片づけてもらう。




「また1年たくさん食え、俺のコレクションからいくらでもやる」
「 …… ありがとう」


「誕生日おめでとう。 食べ物以外は食べないの? 」
「 …… どういう意味、それ」


「ほんっと腹立たしいわ、その体質! なんで太らないのよ、まったく」
「 …… んなこと言われても」


「お誕生日おめでとう。 僕からこんなの、今日だけ特別だよ? 」
「 …… 確かに。 うん … ありがとう」


「 ………… おいしそうに食べるよね」
「 ………… そう? 」


「 …… って、もう最後の1台分かよ、どうなってんだよお前の腹! 」
「 …… 別に、いつものことだろ」






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お誕生日おめでとうグラッドくん!
ドロップクエストに登場してくれたので頑張って
月覚醒側で完全愛凸しました。 その記念も兼ねて。

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* 愛されているな、この姫は *
【 イラ×姫 】


***


「 …… いない」


午前の公務が少し早く終わって。
僕が僕でいられるたったひとつの時間を過ごすために
愛しい君の部屋まで行ったけれど、
僕の心を和らげる笑顔と声音はそこに無かった。


「どこ …… 行ったのかな … 」


押し寄せる孤独感。 声が震える。


城中を捜した。
片っ端から君の行方を尋ねた。
街に出てあらゆるところを捜した。


いない。
何処へ。
何処に。


あの子はとても可愛いから誰かに拐かされていたら。
あの子はとてもか弱いからどこかで怪我をしていたら。
良くない想像ばかり膨らんで破裂しそうになる。


( どこへ行ったの 僕を放って ねぇ、どうして、 )


俯いた視界が霞んで滲む。
通りすがりの誰かに言われるまで
伝い落ちた涙の筋に気づかなかった。




***


朝からグラッドくんのお城の厨房にお邪魔している。
内緒にしてくれたらちょっとだけ分けてあげるから、
そう言って作業を始めてからかれこれ3時間ほど。


「 …… 美味いな」
「ありがとう、グラッドくん」


動かす手を見つめてくる視線に耐えかねて
大好きなあのひとに渡す以外の小さなケーキも焼いた。
もっと欲しいとおねだりされて、つい私も甘くなって。


「グラッドくん、今、何時かな? 」
「 ……… んー …… 12時過ぎたぐらい」
「 ! 」


予定していた時間を過ぎている …… !


息を呑んだ私を気にかけるでもなく
グラッドくんはお昼ごはんを食べに向かって行った。




***


「 ……… ここにいたか」
「 !  …… ヴァスティさん! 」


見つけた。
グラッドの城の厨房で何か甘いものを作っているのは
紛れも無くあいつの大事な姫だった。


「何をしているのかは想像がつくが」
「えっと …… でも、どうしてヴァスティさんが? 」


周りに散らばっている大量の紙カップは
おそらくグラッドのつまみ食いの名残りだろう。
全く …… 相変わらず空気の読めない奴だな。
まぁ多分イラに内緒にしてもらうための対価だろうが。


「 …… 招集を掛けてくれと言ってきたんだ」
「 …… イラさんが、ですか」
「あぁ」


尋常でない表情をしていた。
愛されているな、この姫は。 今回の件でより実感した。
いいからとにかく落ち着け、俺も捜してやるから、
そう宥めて各王子の城を回ってやっと見つけたのが此処だ。


「えっ、でも、どうしよう …… あと30分はかかる … 」
「良いように言っておく。 任せておけ」
「 ……… 」


姫は思案するようにその大きな瞳を揺らす。
何か思い当たったことがあるのか手を小さく打ち鳴らして。


俺に差し出されたのは、
暴食の王子に食べられず残ったカップケーキ1個。


「 …… 義理チョコか」
「えっと …… それプラス、感謝のしるしです」
「 …… 礼を言うぞ」


遠慮がちな微笑みを見返してから厨房を出る。
悪いが、あいつに知らせてやるのは
この小さなケーキを腹に収めてからだ。




***


「 …… イラさんっ! 」


何度も何度も私の名前を呼びながら
駆け寄ってくる姿に申し訳無い気持ちが募る。
あと、同じくらい愛おしさも。


怒られるかな、
と思ったけれど、目の前の貴方にはそんな色は見えない。
私を見つけた安堵の色に染まる綺麗な金色の眼。


何か言われる前に、貴方にこれを。


「イラさん、これ ……… 受け取って、くださいっ! 」


あぁそれ、イラにやるやつだったのか、
背後で気の抜けたグラッドくんの声がしてズッコケそうになるけれど。


「 ……… うん … ありがとう …… 、嬉しい …… 」


震える声で心から微笑んで、
差し出したホールのココアケーキごと私を抱きしめる貴方の胸に
ごめんなさいとありがとうと大好きの気持ちをのせて
ぴったりと頬を寄せた。





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愛の日当日。 大本命なんですほんと大好きすぎる。
イラ様にはサプライズも時として命がけかも知れないですね。 笑。

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* いいから受け取っとけっての *
【 ウェディ×姫 】


***


「よ! 」
「あ、ウェディくん! 」


待ち合わせ場所に着いたのは約束の時間の10分前。
私を呼び出した張本人は、約束の5分前にやって来た。


「その …… いきなり呼び出して、ごめんな」
「えっ? ううん、全然」


手ぶらの私と、小さな鞄を持った貴方と。
向かい合う頬にお互い少し赤みが帯びる。


「ウェディくん、それで …… 何かお話? 」
「あぁ …… うん、待ってな」


そう言って鞄を開けたと思ったら、


「えっ、これ …… ?? 」


手元に押し付けられたのは小さな箱。


「いいから受け取っとけっての。 じゃあな」


ぷいっとそっぽを向いて早足で去る頬は赤かった。
箱からほんのり漂うのはチョコレートの甘い匂い。


「先にもらっちゃった …… あとで渡そうと思ってたのにな」


苦笑いしながら零れた言葉。
でも、いいよね。 私からも渡しちゃっていいよね、こういう場合。




ウェディくんから渡されたのはやっぱりチョコだった。
街のひとに聞けば、名の通ったショコラトリーの物らしい。
口の中でとろける上品な甘さに つい次々と手が伸びて
あんなに味わって食べたのに あっという間に無くなってしまう。


美味しかったな。 本当に。
もらったチョコのお礼と
もちろん愛の日のプレゼントとして、
お店のチョコほど巧くは出来ないけれど 厨房に立って考える。


素直で元気な貴方に似合うのはどんなお菓子かな。
もうむしろ板チョコをそのまま齧っていてほしいような
そんな印象の彼だけど。


考えに考えて作ったのはハートの形のチョコタルト。
小さいものをいくつも何個も。
アラザン、チョコペン、スプレーチョコでそれぞれ
デコレーションして可愛らしい袋に詰める。


想いをひと言、メッセージカードに託してリボンを掛けたら。
ひとつだけ、つまみ食い。
きっと気に入ってくれる、そんな気がしてきた。






「あ、ウェディくん! 」
「おう! 」


名前を呼んで手を振るだけで
駆け寄って来てくれる貴方が好きで。
プレゼントの袋は背中に隠したまま。


「さっきはありがとう。 すっごく美味しかったよ」
「そっか、よかった …… へへ、ホントよかった」


はにかんで笑う貴方に。


「 ! ……… これ … !? 」


さっきのお返し。
有無を言わせず貴方の手元にラッピングした袋を押し付ける。


「 ……… いいから受け取っとけっての、だよ! 」


じゃあね、
貴方の頬が真っ赤になって驚いた眼が大きくなったのを
見届けてから満面の笑みで手を振って。


メッセージカードを呼んでくれたあとの貴方の顔を
想いながら私は日の暮れかけた街並みを鼻歌交じりに歩いた。






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愛の日シリーズ。 逆チョコ。
ウェディくん可愛いっすね、、 たまらんね、未成年。


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